ケンケンのこと T  

1991年ある日、会社にまっ黒いワンコがやってきました。
 
   
犬に餓えていた?私は『おいで!!!』と、立ったまま呼んでみました。
   様子をうかがって来ません。
   
しゃがんで呼んでみました。『おいで!!!』
   そのワンコは、とことこと、ゆっくり歩いて来てくれました。
   毛の多いフワフワの、でも目は鋭いワンコ・・・
   私は一瞬で、そのワンコに恋をしてしまったのです。

   犬を飼う事は禁止・・・
   飼ってその子をきちんと面倒見てあげられないからです。
   父の会社は、大変だったから。。。
   それでも、時々お弁当をこっそりあげたりしてました。。。
   ワンコは、毎日のように遊びにきていました。 
   ワンコとの気持ちはつながっていたと思っています。
   雨のある日。。ビッコを引いていました。
   兄に聞くと、2日前位からそうだったようだです。心配でした。
   そっと、ミルクを運んであげたりもしました。秘密にしていました。
   『白い水をあげたの?』と、兄にはバレバレでしたが。
   次の日・・・ワンコを上から見ると、
   後ろ足の股関節のところが横に出ているように見えました。脱臼?
   次の日、病院に電話をしました。様子を説明すると先生がキャリーを持ってくれました。
   キャリーの中に、入れておいてくださいとのことでした。
   ワンコは用心深かったので、先生のことは警戒していました。
   夕方迎えに来てくれるとのことです。それまでに、ワンコがもう一度きてくれる事を、
   祈りながら・・・ワンコは、首輪をつけてもリードでキャリーの中に誘導しても、
   とても大人しい子でした。

   ワンコは無事に入院して、切らずに、脱臼を入れてもらうことに成功しました。。
   切ると治っても、足を引きずったりすることが多いそうです。
   先生は、お友達の先生と二人がかりで、入れてくれたそうです。
   脱臼してから時間が少し経っていたので、結構大変だったそうです。
   『L』のフィラリアを手術して治してくれた、信頼のおける先生です。

   ケンケン・・・そう呼んでいました。
   彼もその名前が気に入ったようで、反応してくれました。
   脱臼した足を折りたたんで、包帯でしばって3本足でした。包帯を外す頃は、
   私がケンケンを押させるだけで、包帯を外すことが我慢できるほどほどに、
   信頼してくれるようになりました。
   よく頑張って、足を引きずることもなく回復しました。
   兄の反対をよそに、母と私で入院させ・・・家の子に・・・  
   反対はしていましたが、基本的にワンコが好きな兄は、認めてくれました。
   いいえ、きっと、認めざるを得なかったのだと思います。