ケンケンのこと U   

ケンケンと暮らし始めて・・・それは大変なことがばかりでした。
野良犬といっても、前に飼い主がいたようで・・・
お家の中はもちろん、お庭に放しても、トイレはしませんでした。
必ずお散歩で。。。これは療養中、膀胱炎になりかかったことで、
わかったのです。
男の人にほえる、特に作業服を着た男の人には、とおりすがっただけでほえました。
犬との挨拶がほとんど出来ませんでした。自分は自分でした。
喧嘩をしたり、他のワンコに、吠えたりはしませんでしたが・・・
本当に何匹かの限られたワンコにしか、心を許しませんでした。
毛糸玉のように小さかった子犬でスピッツの『カズ』君。
柴犬の『ろく』君。シェルティのMIX『ロン』君。MIX『マリア』ちゃん。
それでも人間の家族には、本当によくなついて気持ちの届く子でした。
結婚するときに、ケンケンをどうしたらいいのか迷いました。
マンションに住むことになっていました。
ケンケンは一緒に住めません。
たとえ一緒に住めるところでも、成犬で家にきて9年。
年をとったケンケンが住む場所を変えるということは、大変なことだと思いました。
私に似て、かなり頑固なので!!毎日会社に(実家)に来るのだから・・・
母のすすめで、ケンケンを実家に残してゆくことにしました。
車で10分あまり・・・何かあればすぐにでも飛んでこれるし。

2001年冬・・・
オシッコが出が悪くて治療・・・
薬が効いたかのように見えました。
年が明けて2002年は、具合がよくありませんでした。
母からの電話で実家に来ると、ケンケンは、ぐったりしていました。
オシッコが出にくい状態は、ずっと続いていました。薬を飲んでいたのですが。
尿道結石?手術に、麻酔に、もちこたえられるのでしょうか?
先生はケンケンを見てこう言いました。
『とにかく、おいていきなさい。手術しかないです』
信頼している先生です。でも怖かったです。車の中で泣きました
もしかしたら、これがケンケンとの別れになるかも知れないと思ってしまったのです。
1月14日の寒い日でした。

2日後に電話をしなさいと言われていました。
何かあったら電話連絡が来るはずです。眠れない夜、長い長い夜の暗く冷たい時間でした。
16日・・・
怖くて受話器を持って何分も先生に電話をかけられずにいました。
ケンケンは頑張っているはずだと言い聞かせ、電話をしました。
『夕方迎えに来てください。夕方のほうがいいな!』

いつもなら『早く着てあげて』と言う先生なのにと、不安がよぎります。
やはりあまり具合は良くないのかもしれないと・・・